位舞志朗の健康談話 味覚と病気が、密接な関係を持っている?

「そんな話、聞いたことがない」。誰もがそう言うかも知れない。だが、味覚が衰えると病魔は着実に忍び寄ってくるのだ。五感という感じ取る能力のことは、誰でも知っているだろう。視覚、聴覚、臭覚、触覚、味覚だ。このうち4つ、視覚、聴覚、臭覚、触覚については、異常が起きると何かの現象として現れる。近くが見え難くなれば老眼だし、音が聞き難くなれば難聴だ。鼻が詰まれば臭いにも鈍感になる。触覚に至っては、痛い痒いで異常を教えてくれる。
ところが味覚は、いくら衰えても無言だ。しかも、衰えた状態が「好き」、「嫌い」に置き換えられてしまうから始末が悪い。だから、異常に気づかないことが多い。一般的に味覚が衰えてくると、濃い味が好きになる。薄味だと味を感じないからだ。だがこの濃い味は、確実に味覚をより鈍化させる。一度濃い味の虜になると、より濃い味を求めるようになる。これが塩分や糖分の過剰摂取につながり、糖尿病や高血圧、心臓病などの病気つながっていくのだ。しかも大量の食品添加物が同時に体内に入ると、味覚を正常に保つために必要な亜鉛などミネラルの吸収を妨げてしまう。濃い味は健康にとってのダブルパンチになってしまうのだ。
その点、薄味で素材の味を感じ取るような食習慣を続けると、味覚は研ぎすまされる。この味覚神経が活発に活動すると、脳も活性化される。つまり老化を防ぐことになる。毎日の何気ない食事、その中に病気も老化もみんな含まれている。10年後の健康は、今の生活がつくるのだ。